昭和52年にこの場所でつかさ苑を始めました。
その頃、神田に焼肉屋さんはほとんどなかったんですよ。うちとあと一軒くらい。
今はなくなってしまった○○さんというお店とうちくらいだったんですよ。
それが今はずいぶん増えましたねぇ。
だからってわけでもないんでしょうが、経営は、いまどきは大変です。
ぐるなびやら、インターネットのことも勉強して、こうして宣伝もしてるンですねぇ。
店ができた頃はランチなんて店の外に行列ができてねぇ。
お客さんが100人くらいいらっしゃいました。
もうそれは忙しくて忙しくてねぇ。だいぶ繁盛したもんです。
店が繁盛するっていうのは、店をやっている者にとってはそりゃあ本当に幸せなもんでしてねぇ。
ハイヤーでお越しになるお客様もいらっしゃって、なんとも賑っていました。
今年で34年になるんですが、しかし時間の経つのはほんとにあっという間ですね。
おととしのリーマンショックまで、正直うちは不景気知らずでした。
狂牛病騒動のときも3ヶ月で戻りましたから。
神田にお勤めのみなさんに代々支えてもらって、ほんとうにありがたいことです。
幸せな店です。
でも2008年の秋からは、世の中が変わりましたね。
・・・うん、なにかすごく変わっちゃった気がしますねぇ。
ですんで販促っていうことを考えて、いろいろ遣らせてもらってます。
ポイントカードや割引券や。
そうですねぇ。変わってきたと感じるのは例えばこういうことなンです。
いま来て頂いているお客様で部長さんがいらっしゃれば、
その方は新人の頃、当時の部長さんに連れられて来ていたんですよ。
そういうふうに、先輩が後輩を、後輩が先輩になって後輩を、代替わりしながら
連れてきて下さっていたんですねぇ。
それがしばらく前から途絶える感じになってきました。これはひとつには、
会社の経費で飲食すると云う事が、接待であったとしても難しくなってきたからなんでしょうねぇ。
それと、若い皆さんはいま、先輩に連れられて飲んだり食べたりがお好きじゃあないんだそうですねぇ。
だから今まで通りに肉の品質や料理の事や店の教育のことだけやってちゃあ、
これじゃあダメなんですねぇ。お客さんを大事にしきれないんですよ。
うちを選んで来てくれたお客さんを、大切にしたいんです。
つかさ苑で一番大切なことは、お客さんを大切にするってことです。
おいしい肉を吟味して仕入れるのも、タレもキムチも工夫しながら自家製で作るのも、
お店の前に花を絶やさないのも、つまり、ぜんぶ、うちに来てくれたお客さんを、うちにできる精一杯で、大切にしたいってことです。
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